Q.40歳で突然会社を解雇されました。再就職に向けて、どのような手続きを踏むべきか教えてください。
A.私も過去に解雇され、その後再就職を成功させた経験があります。その時に行った手続きについて、会社や労働局、法律事務所、ハローワーク、市役所、転職エージェントを利用した方法を詳しくご説明します。
会社の業績が悪化し、希望退職を選んだり、突然の解雇に直面すると、どう行動すればよいか迷ってしまうことがあります。私もかつて希望退職を経験し、その後、二度の解雇により困難な状況に陥ったことがあります。しかし、その度に多くの人々に助けを求め、情報を集めながら、再就職を果たすことができました。
今回、私の体験をもとに、突然の失業に直面した際に、生活費を確保しながら再就職するために必要な手続きについて具体的に解説します。
会社を退職する際に必要な手続き
転職や再就職にはさまざまなパターンがあります。
転職・再就職のパターン
- 会社に在籍しながら転職先を決める
- 自己都合で退職した後に再就職先を探す
- 希望退職後に新たな職を見つける
- 解雇後に再就職先を決める
私はこれらすべてのパターンを経験しました。それぞれのケースで必要な手続きについて解説します。
自己都合退職の場合に必要な手続き
まず、企業に在籍中に転職活動を行い、新しい職場を見つけるケースについてです。仕事を続けながら転職活動を行うのは大変ですが、この方法が最もリスクが少なく、理想的です。効率的に転職活動を進めるためには、転職エージェントに登録するのが最適です。特に、在職中の面接やスケジュール調整は、エージェントが代行してくれるため、負担を軽減できます。
転職先が決まった場合、自己都合による退職となります。この際、「退職願」を提出する必要があります。会社にフォーマットがある場合はそれを使用し、ない場合は自分で作成しても問題ありません。提出期限は基本的に退職日の1か月前であり、会社の就業規則を確認することが重要です。
さらに、円満退職のために業務の引継ぎをしっかりと行うことが大切です。有給休暇を残している場合は、退職前に取得するための申請を忘れずに行いましょう。転職先が決まっていなくても、自己都合退職には同様の手続きが必要です。
特に重要なのは、退職理由にかかわらず、円満に退職することです。退職時にトラブルが発生すると、再就職の際に前職の企業に問い合わせがあった場合、不利になる可能性があります。採用担当者が応募者の前職に問い合わせをすることもありますので、注意が必要です。
希望退職に応じる際の手続きとは?
企業の業績が低迷すると、希望退職を募集するケースがあります。特にミドルシニア世代が対象となることが多いです。
もしあなたが希望退職に応じることを考えているならば、まずは慎重に判断しましょう。私も40代の時に、コンビニエンスストアチェーンで勤務していた際、会社が他の大手チェーンに吸収合併されることになり、最終的に希望退職を選んだ経験があります。
合併が決まるまでは、上司から何度も退職を勧められましたが、最初は退職する意思がないことを伝えていました。しかし、移籍が難しいことが明確になった段階で、希望退職を受け入れました。
退職勧奨に必ず従う必要はありませんので、慎重に判断することが大切です。それでも希望退職を選ぶ場合は、企業が指定する手続きに従って進めてください。
特に留意すべき点として、残っている有給休暇の日数を確認し、それをすべて消化するための手続きを行うことが挙げられます。これにより、再就職活動の時間を確保できるでしょう。
また、希望退職に伴う割増退職金が支給される場合、その金額をしっかり確認しておきましょう。再就職活動期間中の生活費の確保は非常に重要です。
さらに、希望退職の一環として、再就職支援サービスを提供してくれる企業もありますので、これを活用することをお勧めします。私も再就職支援を利用して、新しい職場を見つけた経験があります。
その他、希望退職に関する条件については、明確に確認しておくことが重要です。
突然の解雇時に取るべき手続きとは
もしも突然会社から解雇を告げられたら、誰でも動揺することでしょう。実は私も過去に2度解雇された経験があります。その際、どうすればよいのか全くわからず、非常に不安な思いをしました。
解雇された場合、まず最初に確認すべきことは、会社に解雇の種類を明確に説明してもらうことです。解雇には以下の4種類があります。
解雇の4つのタイプ
- 通常解雇
- 整理解雇
- 懲戒解雇
- 諭旨解雇
通常解雇の理由には、能力不足や繰り返される遅刻・欠勤、協調性の欠如、業務命令の違反などが含まれます。一方で、労働契約法第16条では、解雇について厳格なルールが定められています。
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、その権利の行使は無効とされる。」
また、整理解雇を実施するには、次の4つの要件をすべて満たす必要があります。
整理解雇の4つの要件
- 人員削減の必要性
- 解雇回避のための努力
- 解雇対象者の合理的選定
- 解雇手続きの適正性
整理解雇を行うには、会社が解雇を回避するために最大限の努力をしたかどうかが前提条件となります。また、あなたが整理解雇の対象者に選ばれた理由が、社会通念上納得できるものである必要があります。
解雇を告げられたら、まずは就業規則を確認し、どのようなケースが解雇の理由に該当するのかを文書で提出してもらいましょう。理由が曖昧だったり、納得できない場合は、NPO法人や労働局に相談するのが良いでしょう。私も、まず労働問題に詳しいNPO法人に相談し、その後労働局に助言を受けました。
労働局では、「あっせん」という手続きを提案されることがあります。これは、労働者と会社側の代表が別々に呼ばれ、社労士などの第三者が間に入って意見を調整するものです。
個別労働紛争のあっせんとは
職場でのトラブルが発生し、当事者間での解決が困難な場合、労働委員会が介入し、労働問題の専門家である委員がトラブルの解決を支援します。これが「個別労働紛争のあっせん」です。
出典:厚生労働省 中央労働委員会
私も「あっせん」を利用しましたが、思った以上に時間がかかり、解決まで進まないこともありました。あっせんが不調に終わった場合、次のステップとして労働審判を選ぶことができます。
労働審判とは
労働審判は、労働者と事業主の間で生じた労働問題を、裁判所で審理し、迅速かつ公正に解決するための手続きです。審判は、労働審判官1名と労働審判員2名が担当します。
出典:労働問題弁護士ナビ
私の場合、労働審判を行わずに弁護士に相談し、弁護士事務所から会社に内容証明を送ることで解雇の無効を認めてもらいました。その際、再就職活動も並行して行っていたため、精神的には非常に厳しいものでしたが、最終的には解雇無効と再就職を達成でき、安心しました。
ただし、解雇が無効となっても、企業に留まり続けるのは現実的ではないため、新しい職場への再就職をお勧めします。再就職先での面接時には、退職理由を正直に話すことが重要です。会社都合による解雇であれば、自己都合退職よりも有利になることが多いです。採用担当者は、自己都合退職が多い応募者をジョブホッパーと見なす可能性があるからです。
解雇後は、企業から離職票を取得することが必要です。離職票には1と2の種類があり、雇用保険(失業手当)の給付を受ける際に必ず必要となります。また、離職票2に記載される離職理由が会社都合であるかを確認してください。会社都合であれば、雇用保険は待期期間なしで支給され、給付日数も自己都合より長くなります。
ハローワークで必要な手続きの二つのポイント
Q.ハローワークを初めて利用するのですが、失業手当の申請方法や求職活動の手続きについて教えていただけますか?
A.初めてハローワークに行くときは少し緊張するかもしれませんが、失業手当の申請や求職活動の支援を一か所でまとめて受けることができる便利な場所です。
ハローワークは、失業手当を受け取る場所というイメージがあるかもしれませんが、実際にはさまざまな就職支援サービスを提供している機関です。かつては「ブラック企業の求人が多い」という印象もありましたが、今ではサービスの質が大きく向上しています。マンツーマンのキャリアコンサルティングや、履歴書・職務経歴書の作成、面接対策のセミナーなど、幅広いサポートが受けられます。
この章では、退職後の再就職活動でハローワークを効果的に活用する方法を説明します。
ワークで失業手当を申請する際の手続き
失業手当を申請するためには、雇用保険被保険者証と離職票1・2が必要です。これらの書類は退職した会社から受け取ります。
特に大切なのは、離職票に記載されている離職理由の確認です。解雇や契約終了、会社の倒産、希望退職などの場合、会社都合退職となります。この場合、特定受給資格者または特定理由離職者として、給付条件が優遇されるため、離職理由は必ず確認してください。
離職票を受け取ったら、住んでいる地域のハローワークに持参し、求職申込手続きを行います。ハローワークで求職申し込みを行うと、受給資格の決定が行われ、必要な書類が渡されます。書類を受け取ったら、雇用保険の説明会に参加し、その後、7日間の待機期間を経て失業手当の受給が始まります。
自己都合退職や懲戒解雇の場合、さらに3か月の給付制限がありますので、その間の生活費についても確認しておきましょう。詳細はハローワークインターネットサービスで確認することができます。
中項目:ハローワークで求職活動を始めるための手続き
まずは、近くのハローワークを見つけて登録手続きを行います。求職申し込みをすると、「ハローワーク受付票」が発行され、それを使ってさまざまな就職支援サービスを受けることができます。
自宅からでも「ハローワークインターネットサービス」を利用してオンライン登録が可能です。ハローワークは、転職エージェントや転職サイトと比較しても圧倒的に多くの求人を扱っています。これは企業が無料で求人を掲載できるためですが、そのため求人の質はさまざまです。
ハローワークには多くの中小企業の求人がありますが、優良企業も数多く含まれています。その中から条件に合った企業を見つけ出すことが、ハローワークを効果的に活用するポイントです。
小項目:ハローワーク利用の流れ
1. 最寄りのハローワークで求職登録
2. 就職相談窓口での職業相談
3. 求職者マイページの開設(Eメールアドレスの登録)
4. ハローワークインターネットサービスで求人検索
5. 個別就職支援制度を利用し、担当者と定期的に相談
6. 希望の求人が見つかったら、担当者に「紹介状」を発行してもらい応募
失業時に行うべき公的手続き
Q.失業後、会社の健康保険証が使えなくなると聞きました。国民健康保険は全額自己負担で保険料が高く、不安です。
A.失業後は、国民健康保険や国民年金の軽減措置を受けられる場合がありますので、経済的な負担を軽減する方法を確認しましょう。
失業後、特に経済面での不安を感じる方が多いでしょう。私も失業期間がどれくらい続くかわからず、とても不安でした。退職すると、それまで加入していた健康保険や厚生年金保険の資格を失うため、新たに健康保険に加入する必要があります。
在職中は企業が社会保険料の半額を負担していたため、あまり意識していなかったかもしれませんが、退職後は全額自己負担となり、その額に驚かれることが多いです。退職後の社会保険料の支払い方法や軽減措置についても、詳しく説明します。
失業後の健康保険加入手続きについて
退職後の健康保険の選択肢は主に以下の3つがあります。
退職後の健康保険の選択肢
- 以前の勤務先で加入していた健康保険を任意継続する
- 国民健康保険に加入する
- 家族が加入している健康保険に扶養家族として加入する
家族の健康保険に加入する場合には、収入制限があることに注意が必要です。退職した会社の健康保険を任意継続する方法もありますが、退職後に会社との関わりを避けたい場合には、現実的ではないかもしれません。
多くの方が選ぶのは、国民健康保険に加入する方法です。ただし、全額自己負担となるため、収入が失業手当のみの場合、その負担は大きくなります。こうした状況に対して、会社都合で退職した方には、国民健康保険料の軽減措置が設けられています。
通常、国民健康保険料は前年度の所得を基に計算されますが、会社都合での退職者に対しては、退職日の翌月から翌年度の3月までの期間、所得を30%として計算されるため、保険料が大幅に軽減されます。この制度を利用することで、保険料の負担を減らすことができますので、対象の方はぜひ手続きを行いましょう。
手続きはお住まいの市区町村の役所で行います。必要な書類は、会社から発行される「健康保険資格喪失証明書」とハローワークで発行される「雇用保険受給資格者証」です。まずはハローワークで雇用保険の申請を行い、その後役所で手続きを進めてください。
失業後の国民年金軽減措置を忘れずに
60歳未満の方で、国民年金の第1号被保険者である場合、毎月の保険料を納める必要がありますが、失業などで所得が減少し、保険料の支払いが困難な場合もあります。そのような状況に陥った場合は、未納にせずに「国民年金保険料の免除・納付猶予制度」を利用しましょう。
所得が一定の基準を下回る場合や失業した場合には、申請することで保険料の全額または一部が免除される可能性があります。免除の種類は、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の4つに分かれています。
申請書を提出する際には、「雇用保険受給資格者証」または「雇用保険被保険者離職票」のコピーを、住民登録をしている自治体の国民年金担当窓口に提出する必要があります。
転職エージェントや転職サイトに登録すべき理由
転職や再就職活動を始める際、何から手をつけて良いかわからない方も多いでしょう。そんなときは、転職エージェントや転職サイトの活用をお勧めします。
転職エージェントのコンサルタントは、転職活動の進め方から自己分析、応募書類の作成、面接対策まで、さまざまなサポートを提供してくれます。さらに、あなたの希望に合った求人案件を紹介してくれるので、スムーズに転職活動を進めることができます。
転職サイトには数多くの求人が掲載されており、自分の希望に合った案件を見つけて応募することが可能です。
転職エージェントの登録方法
転職や再就職活動は、多くのステップが必要で大変です。私自身も何度も経験しているので、その難しさはよくわかります。自己分析、応募書類の作成、求人の選定、面接対策、スケジュール調整といったすべてのステップを一人でこなすのは、精神的にも大きな負担になります。
そこでお勧めなのが、転職エージェントの利用です。転職エージェントはこれらのプロセスをすべて無料でサポートしてくれます。各社のウェブサイトから簡単に無料登録ができますので、ぜひ活用してみてください。
転職サイトの登録方法について
ミドルシニア世代の転職活動では、希望する求人を見つけるのが難しいことが多いです。理由は、20代や30代向けの求人が多くを占めているからです。そのため、幅広い媒体を利用して求人を確保することが重要です。
転職エージェントに登録することは基本ですが、登録後に「現在ご紹介できる案件がありません」と案内され、そのまま放置されることもあります。また、40代や50代でキャリアチェンジを試みる場合、転職エージェントを通じての成功は難しいことが多いです。企業は高いキャリアを持つ応募者に高年収を提示したいという意向が強く、エージェントも高年収での成約を目指すため、年収が下がるようなキャリアチェンジは勧めにくいのです。
一方、転職サイトに登録すると、誰でも多くの求人案件にアクセスでき、興味のある案件に直接応募することができます。異業種や異職種への転職は難易度が高いですが、転職サイトを利用すればチャンスは広がります。転職サイトの利点は、自分のペースで転職活動を進められる点です。転職エージェントと転職サイトそれぞれにメリットとデメリットがあるため、それを理解しながら併用することが効果的です。
まずは転職サイトに登録し、エントリーシートに必要な情報を入力しましょう。情報を公開設定にすると、企業からスカウトメールを受け取る可能性が高まるため、職務経歴や自己PRをしっかりと記入することが重要です。
まとめ – 40代・50代の転職・再就職に必要な手続き
40代や50代で、会社の業績悪化により希望退職を求められたり、突然解雇されたりした場合、何をすべきか戸惑うこともあるでしょう。実際、私も2度の解雇と1度の希望退職を経験し、経済的な不安を抱えました。そのような状況に備えて、突然失業した場合の行動をあらかじめシミュレーションしておくことが大切です。
まずは、ハローワークで雇用保険(失業手当)の手続きを行い、生活費を確保します。同時に、役所で社会保険の軽減措置の手続きを済ませましょう。そして、再就職活動のために転職エージェントや転職サイトに登録し、新たな職を探し始めることが重要です。
失業時には、焦らず一つ一つの手続きを確実に進めていくことが大切です。