再就職の面接は、1回で内定をもらえることもあるかもしれませんが、多くの場合、何度も面接を繰り返す必要があります。時には数十回にも及ぶことがあるでしょう。回数を重ねるにつれて、面接での対応は自然と上達していきます。
しかし、その反面、自分自身のアピールはうまくできるようになる一方で、応募した企業に対する「ここで働きたい!」という気持ちが薄れてしまうことがあります。これは、面接の結果に悪影響を与える可能性があります。
伝えるのは難しい
再就職活動を始めた当初は、初めて目にする求人に対して「この仕事をやりたい」という気持ちで応募し、面接にも意欲的に臨みます。しかし、面接に慣れていないために「自分の気持ちをうまく伝えられなかった」という経験はありませんか?その後、別の面接では「この仕事でもいいかもしれない」と半ば妥協の気持ちで臨み、今度は「上手く伝えられたのに不採用だった」ということもあったかもしれません。
気持ちや考えは、隠そうとしても自然に表れてしまうものです。私は営業職ですが、営業先を選ぶ際に「まずは似たような会社で試してから本命に挑む」ということがあります。試しの会社に対しては「受注できたらラッキー」という軽い気持ちで臨みますが、その経験や情報をもとに本命の会社にアプローチするのです。
熱意の表現が困難である理由
振り返ってみると、私自身の再就職活動中、熱意を保つことの重要性を「すっかり忘れていた」ことがあります。面接が連続して不成功に終わる中で、ふとした瞬間に「どうせだから難しいと思う企業にも挑戦してみよう」という気軽な気持ちで応募してしまったことがありました。
このような気持ちで応募しても、採用されることはありません。面接技術が向上しても、本当の「熱意」が欠けていればそれは相手に伝わってしまいます。
再就職活動が長引くと、しばしば「この求人なら悪くないか」「とりあえず応募してみるか」という消極的な気持ちで応募ボタンを押してしまいます。その結果、面接に進んでも、本当の就職への熱意は感じられないものです。ただ「面接に呼ばれただけでラッキー」と考える程度です。
中途採用で募集しているポジションは「1名」、多くても「数名」です。
このような限られたチャンスでの競争において、ただ「とりあえず」の気持ちで応募しても成功は望めません。
「この会社で働きたい」という強い気持ちがなければ、熱意を自然に示すことは難しいです。
ただし、一部の人はこの点に気づき、「演技」で熱意を演出することができます。しかし、面接官をだますような演技は高度な技術が必要で、一般的には推奨されません。もしも「本当の自分」と「演じる自分」を使い分けることができるならば、演技を利用するのも一つの方法です。
熱意を効果的に伝える方法
「熱意」をどうやって伝えるか、という問題に直面したとき、最も単純な答えは「本当に働きたい企業」に応募することです。その場合、自然と熱意が湧き上がります。しかし、現実には「本当に働きたい」と思える求人は非常に少ないのが実情です。多くの求人に対しては、「給料が低い」「休みが少ない」「通勤時間が長い」「体力的に厳しそう」「残業が多そう」「待遇に不満がある」といった気持ちが生じるでしょう。すべてに満足できる「理想的な求人」などほとんど存在しないと言っても過言ではありません。
経済的な理由などで、「本来やりたい仕事ではないけれど、応募する」という方も多いでしょう。
しかし、そこで「熱意を持たずに」ただ面接を受けても、良い結果につながることは難しいです。
気になる点をチェックする
例えば、ハローワークで手に入る求人票を見た際に、良いと感じた部分にマーカーで線を引いてみてください。そして、その求人票に書かれていない「良い」と思えるポイントがあれば、余白にメモしておくと良いでしょう。また、応募する企業のホームページがあれば、それも確認し、求人票に「良いと思う点」を書き足しておくと良いです。「気になる点」や「印象に残った写真」なども同様に書き留めておくと役立ちます。
履歴書・職務経歴書の書き方
そのメモした内容を、履歴書や職務経歴書に反映できるよう工夫して書いてみましょう。例えば、「仕事内容が自分に合っているから応募した」という場合、その仕事内容に関連するスキルや経験を強調するように書類を作成します。例えば、工場での作業でも、「単調な繰り返し作業が得意」や「体力を必要とする仕事に向いている」など、仕事内容に合わせてアピールポイントを調整します。履歴書の志望動機や特技欄には、「粘り強さ」をアピールし、趣味として「長時間行列ができるラーメン屋巡り」といったエピソードを盛り込むことで、面接で話題が膨らみ、「仕事に対する熱意がある」と受け取られる可能性が高まります。職務経歴書にも、その点を強調する記述を入れておくと良いでしょう。
また、「通勤時間が短い」といった一見応募書類には反映しづらい「良い点」も、工夫次第でアピールに使えます。例えば、「以前、トラブルが発生した際にすぐに会社に駆けつけて対処した経験がある」と書くことで、「迅速に対応できる人材」として評価される可能性が高まります。
面接に向けた準備
そして面接前には、自分でマークしたり書き出したりした求人票を再度見直し、自分がなぜその求人に応募したのかを再確認しましょう。
応募から面接までに時間が経過すると、応募した理由や求人内容を忘れてしまいがちです。まずは「求人内容の良い点」をしっかり意識することが大切です。求人に「採用されたい」という気持ちこそが、一番の「熱意」だからです。事前に内容を復習することで、面接での「的外れな会話」を避けることができます。「的外れな会話」は、「熱意」どころか「関心がない」とマイナス評価を受ける原因になりかねません。
面接で「当社のホームページをご覧になりましたか?」と質問されることもあります。その際、しっかりと事前に復習しておけば、適切に答えることができ、「しっかり調べてきた」とプラス評価につながります。
また、前述の「気になった写真」の話題を面接中に挟み込むのも、場面によっては効果的です。
結論
多くを語ってきましたが、理想の「パーフェクト求人案件」に出会うことは稀です。しかし、それを理由に熱意を持たずに行う面接では、望むような結果には結びつきません。
面接官に「熱意のある応募者」として認識されることにデメリットはありません。この記事のアドバイスを参考に、応募書類の準備や面接に臨むようにしましょう。